■「可処分時間」の立法化を

2006年07月30日

 二〇〇二年六月七日、経済産業省と国土交通省は共同で全国の会社員、公務員が規定の有給休暇を完全に消化すれば、レジャー支出の増加などで約一二兆円の経済波及効果があり、雇用創出効果は一五〇万人に達するとの試算を発表しました。「休暇制度のあり方と経済社会への影響に関する調査研究委員会」が報告したもので、新聞各紙も翌日一斉に報じました。
 詳しくは第四章で説明しますが、一二兆円は全体で約三〇〇兆円の消費を四パーセント増やす計算になり、デフレギャップの八割がこの政策で解決できることになるのです。

一五〇万人の新規雇用が生まれれば、三五〇万人に達するこの深刻な失業問題を解決する上でも、具体的な展望が出てくるはずです。
 設備投資分の波及効果はこの調査には含まれていません。それを含めれば総額は巨額になると考えられます。
 この報告を政策として実行するのに必要なのは発想の転換だけです。ところが、せっかくのこの報告は、政策に反映される兆しがまったく見えません。緊急デフレ政策にはまったく取り上げられていないのです。
 多くの経済学者や評論家たちが経済政策の立案のために政府の協議機関に参加していますが、この報告書がその場の評価や議論の対象にすらされていないようです。
 景気回復には需要を増やす必要があるとして金利を下げたり、財政による公共投資を増やすさまざまな試みがなされてきました。すべてはお金による刺激策ですが、この案は、時間による刺激策だというところが発想の転換です。そして、時間は昔からお金なのです。
 もし両省の報告が真面目にとり上げられ、発想の転換が新しい「第三の道」といえる経済政策にできるならば、自由時間を活用する文化が発展し、対応するサービス業が多様に,花開き、そのための設備投資と雇用の拡大は間違いなく起こります。
 可処分時間は少しずつ増えていくでしょう。やがて工業社会の暮らしと、「脱工業化社会」すなわち「サービス産業化社会」 がバランスよく併存する生活を実現できるようになるはずです。
 日本の二一世紀の展望は、世界の歴史に先駆けたその実現の過程にあるのではないでしょうか? 財政資金に頼らず、国民自身のもつお金と時間、それに発想を変えた民間の知恵の結集による景気回復政策こそ、いま、求められているものなのです。
   それを実現するための具体的で思いきった方法のひとつとして、可処分時間制度の確立があるというのが私の結論です。

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